松本清張~没後30年~

松本清張は戦後の大作家であり、膨大な作品を遺しました。その多くの作品がベストセラーになり、映画やドラマになってそれは亡くなった後も続いています。
なぜ松本清張の作品は死後も取り上げられ続けるのか?
今年2022年は亡くなってから、30年になります。作家の櫻井秀勲先生が松本清張について語られていますので、改めて注目してみました。

出会い

昭和28年の芥川賞作家に対して、手紙を失敗してもよいので出したというお話。丁寧な文章を書かれたんでしょう。清張氏も最初は桜井先生のことが分からなかったということでした。随分と昔のことなので、当時は手紙の果たす役割が今よりもはるかに大きかったことと思われますが、遠くに住む芥川賞作家から返事が実際に来るというのは驚きだったに違いありません。

素顔の松本清張

箒売りの話がありましたが、松本清張の「半生の記」(新潮文庫)にも詳しく書かれています。朝日新聞社に勤める傍らで、箒を仕入れて小売店や問屋に売り歩かれたそうです。それによって戦後の混乱期にご家族を養われたのです。
真剣、熱心、真面目な方であったとのことですが、桜井先生も同じような面をお持ちなので、清張氏は桜井先生にいろいろとお話されたのではないでしょうか。
そして清張氏のその人間性が傑作を生んだ原動力になったようです。

作家と編集者

松本清張の小説は印象的なタイトルが多いですね。どのように考えてタイトルを決めていたのかと思っていましたが、ご本人は特に考えてはいなかったようで少し驚きました。
波の塔を書くにあたって富士の樹海を実際に2人で見に行ったお話は、清張氏らしいお話だと思いました。「半生の記」によると清張氏は絵の才能にも恵まれていましたので、現場を取材に行くことでよりしっかりとした背景描写ができたのではないでしょうか。

意外な原点

「半生の記」で清張氏は広島から小倉に両親が移った事情はよく分からないが、炭鉱景気で繁盛している北九州の噂を聞いたのがきっかけだったのではないかと想像されています。
松本清張は推理小説だけではなく、古代史、近現代史、時代小説など幅広いジャンルで活躍されましたが、推理小説はご自分の生まれた正確な場所を知らなかったことが原点になったのですね。

担当編集者がオススメする松本清張作品

私は特に熱心な松本清張ファンというわけではありませんが、それでも冒頭に紹介されている3冊「ゼロの焦点」「砂の器」「眼の壁」は読んだことがあります。「ゼロの焦点」は引き込まれて、一気に読んでしまった記憶があります。恐らく清張氏の多くの作品の中でも、特に優れた傑作なのではないかと考えます。北陸の金沢の気候と事件の陰鬱さが交錯し、犯行の悲惨な動機が真に迫ってくるようでした。

桜井先生のお話で、松本清張に親しみを感じることができましたので、これを機会に紹介されている本の中からまた何か読んでみたいと思いました。

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